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最高裁判所第三小法廷 昭和32年(オ)846号 判決 1960年3月15日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人梅山実明の上告理由について。

論旨は、社員総会の「決議自体」が実質的根本的に法令に違反する場合無効であると主張し、原判決が上告人の主張を誤解しその無効を看過した違法ありという。

しかし、所論の定足数については、商法二三九条の引用は誤りであり(有限会社法四一条は商法の同条三項乃至五項を準用せるにすぎない)、有限会社法三八条ノ二によるべきものであるが、いずれにせよ、所論が「決議自体」違法というのは、決議の内容を指しているものでなく、定足数を欠くこと、即ち「決議の方法」につき存する違法を指すにすぎず、原審の主張及び論旨が独り、これを「決議自体」の違法と解釈しているにすぎないものであり、原審が上告人の主張を誤解した兼はない。

そして所論のような定足数不足の決議と雖も当然無効でなく、単に有限会社法四一条により準用される商法二四七条の決議取消の訴の対象となるにすぎぬこというまでもなく、原判決の判断に違法がない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋 潔 裁判官 石坂修一)

《当事者》

上告人 西野虎吉

右訴訟代理人弁護士 梅山実明

被上告人 有限会社ユタカ鍍金工業所

右代表者代表取締役 杉山俊雄

被上告人 杉山俊雄 外四名

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